ゲーセン裏話 第六話

果たしてどこまで続くのか?ご存知ゲーセン裏話です。

断層とUFOキャッチャー

 最近では金魚キャッチャーや活毛ガニキャッチャー(北海道だけ?)なども登場しているUFOキャッチャーですが、もちろん私の店にもありました。ひとつは四角いタイプで右と左にクレーンがついたもの。もうひとつは360度のタイプで、クレーンが回りに5本か6本ついたものです。ちょっとしゃれた普通の店なら、そのクレーン毎にテーマを決めて、きれいにディスプレイしてあったりします。しかし当店は少々様子が違って、3週間に一度ほどやってくる袋に入ったぬいぐるを、店長がひたすら上から詰めていきます。そのため、以前のぬいぐるみは下へ下へと積み重なり、横から見ると断層を構成するようになります。ムーミンシリーズ、キョロちゃん文房具、デルモンテケチャップ食器セット、馬時計、馬人形、謎のアニメ人形、安っぽい腕時計、バカボンサンダルなどなどの層がまるでケーキの断面のようになっていました。おまけにいろんな人形が混ざっているので内部はかなりのニオイが充満しています。そのギチギチに固められた人形の山に手を突っ込めば、「あれま懐かしい1年前の人形だ」「この時計、電池切れてる」というものも掘り出すことができました。時々一番上に人気のないヘナチョコ人形が残っていたりする場合は、例のバスケットボールマシン用の景品箱へと移されます。だって、新しい人形が入らないんだもん。あまりにも山盛りになっていたので、時々人形が取りだし口に自然落下していることもしばしばです。

 そんなわけで、いつもぐちゃぐちゃのUFOキャッチャーでしたが、クレーンの挟む部分の幅はネジで変えることができるようになっています。当店の設定はもちろん全開、ゆるゆるです。人形もできるだけ固く詰めます。普通の人には「そんなことしたら、取りにくくなっちゃうぢゃないか」と思われるかもしれませんが、ちょっとでも油断しようものなら、人形ハンター達の餌食となり、ソニック君の描かれた袋いっぱいにされてしまいます。それにしてもこんなに取って彼らはどうするのでしょう?車の後ろのところにでも並べるのでしょうか。私も腕を上げようと暇を見つけて練習にはげんだこともありましたが、どうもこればっかりは練習よりも才能のようです。ちなみに店員をやめて以来、ただの一度もUFOキャッチャーをやる気にはなりません。

 大抵は皆さんご存知の通り、家に帰って改めて見て「何でこんなものに熱くなってしまったのか」とため息をつくようなアイテムが多いのですが、中にはマニア心をくすぐるものもあります。特に馬人形シリーズは人気があり、GI馬などを見せびらかしておくと、売上は確実に上がりました。とはいうもののこれ、ベースの馬部分は同じもので、メンコ(顔の覆面)と鞍の馬名だけが違うという実にうまい商売。その他、個人的にはバーチャ2フィギュアシリーズもなかなかの出来。素材もしっかりしていて、関節も自由に曲げられるすぐれものです。複数あれば、キン消しのように技をかけたポーズにすることも可能。早速ロン毛さんがカウンタの上に全キャラを用意、いろいろなポーズで飾っておりました。時々、パイとラウで「いやーん」なポーズになってましたが…。さすがにこれは単価も高かったので、人形層に対して垂直に差込むことで難易度を上げたのですが、それでも取られてしまうという人気賞品でした。でもカウンタに置いたものはひとつも盗まれないところが、うちの店のよいところであります。

お菓子マシーン

 そのUFOキャッチャーの横には、クレーンとスライドテーブルを組み合わせたお菓子マシーンもありました。4つあるクレーンのうちひとつは壊れていたため、お金を入れるところにガムテープを貼るのですが、こういうものははがされる運命にあります。これも店長が月に一度くらい、どこからともなく持ってくる謎の袋入りミックス菓子を補充します。内容はというと、アメ、ラムネ、サイコロキャラメル、チョコ玉、ビスコなど。このお菓子マシーン、透明のドームでふたがされていますが、筐体自体結構ガタがきていたために、そのドーム部分を押してゆがませると簡単に取れてしまいました。ちょっと小腹が空いたときなど、パッと開けて、ポイッと食べます。これは我々店員の栄養源として重要な存在でした。おばばなど、お茶と一緒に「お兄ちゃん、食べなさい」とティッシュに包んだモノをくれるのですが、中身はどこかで見たお菓子たち。チョコ・キャラメル類などは店員にほとんど食べつくされ、回っているのはまずそうな飴ばかりという、かわいそうなお菓子マシーン。だって、店長だって食ってるんだもん…

 まだまだネタが尽きない、古き良き頃のゲーセンのお話。第七話をお楽しみに。

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